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理由を聞いても許可が下りない、という要領を得ない返事があるだけで、なぜそうなっているのか、交渉して解決にむかっているのかなどの詳しい状況がよくわからないので、フラストレーションはたまる一方、また繰り返されるインド式に諦めと無力感も湧きあがってきます。

 結局、滞在した5日間のうちに飛行機が飛ぶこと

航空蒔き

はありませんでした。せめてビデオで様子を知らせてほしいとお願いして現地を後にしました。「予定どおりいかないのがインドである」ことをさらに学習しただけとなりました。一方、ビハール(ジャルカント)州では住民の手による植林が行われ約200haの土地に42万本の苗木が植えられました。

 翌年の3月に結果を確かめに現地を訪れると、航空撒きをした場所は発芽はされたものの、そのときの生存率は10%程度に留まり極めて厳しい状況にありました。一方、植林が実施された土地では植えられた木々が整然と広がっているのでした。高さは植えられたときとあまり変わりはありませんが、しっかりと根が張られたことがわかり、乾季を生き延びてきたたくましさが感じられました。3~5月の最も暑くなる時期を乗り越えれば雨季がやってきます。そしてさらにぐんと成長していくのです。

第五章 植林の始まり

 FSI(インド森林測量所)によると、森林と定義されるインドの森林面積は約6,400万ha(1987年時点)とされ、数十年にわたり荒廃が進行していました。農村では日々の燃料確保のため、また都市部では開発のため木を

伐採し森を切り開いていったのです。いったん伐採された森林は住民や牛などの動物が入り込み、また9カ月にわたる乾季のため、自力で再生されることはまず難しいのが実情です。そして森林の喪失は耕作地の荒廃につながり、村での生活が困難になった住民は都市へと流れ込むという悪循環となってしまうのです。森林が失われていく村や地域は徐々に貧しくなってしまうことになります。「One tree One life」などの標語が掲げられているように、これ以上の森林の荒廃を防ぎ、木を植え、森林を増やしていくことはインドの国にとっても重要なテーマとなっています。

 タゴール協会はこうした村々に入り込み、人々の生活を助け、村の発展のため日夜努力を積み重ねていました。それは教育から健康衛生管理、農業指導や養鶏など多岐にわたり、植林も一部行われていたようです。植林は4つのFの効用(forest, fruits, fodder, fire)があるとして奨励されていました。このような状況のときに村の人たちの収入にもなり、自ら植えて自ら守り育てる植林プロジェクトは、タゴール協会の目的とも合致するものであり、受け入れやすかったのです。

啓蒙ポスター

 93年の結果を受けて、94年以降の緑化プロジェクトは、航空撒きから住民による植林に全面的に切り替え、進めていくことにしました。インドにおける緑化のコンセプトとして新たに、

1)戦後、インドから贈られた象(インディラ)に日本の子どもたちが大き な感動と喜びをもらったことから、その恩返しとして「象の恩返しプロ

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